拠点リーダー

 

拠点リーダー
藤江 正克
(早稲田大学理工学術院 教授)
 

 

超高齢社会の到来を迎えたわが国と先進諸国では、医療・福祉や生活支援などサービス分野へロボット技術(Robot Technology; RT)を導入した新しい産業の誕生が期待されています。今後わが国が世界に先駆けてロボット技術を社会の様々な課題に適用し「真の知的社会基盤」へ成長させるためには、国際的な視野を持つ若手研究者群の育成と、これまで諸工学の集積として扱われてきたロボット技術分野に新たな「体系的学理」を整備することが急務となっています。本拠点の事業推進担当者らは、機械系、情報系、材料系を包含する横断的な研究体制の下に、40 年近くにわたって幅広く多様な実績を挙げてきました。その過程で、ロボット技術の要素が整備され「ロボット学」の成立が期待できる段階になりましたが、今のところは「非明示的」な体系化に留まっています。

早稲田大学では、ロボット技術の発展を世界に先駆けて「真の知的社会基盤」へ成長させるため、「グローバル COE プログラム」を契機に、世界最高水準の「人とロボット技術の共生」を目指した教育研究拠点「グローバルロボットアカデミア」を設立しました。2008 年に始動以降、若手人材育成のための「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」、「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」、国際的人材交流のための「世界最大規模国際サマースクール」、博士学生の体系的教育を目指した「博士課程専修科目の設置」、体系的なロボット学のウェブテキスト「RTPedia」の発行、社会からのフィードバックを直接入手できる交流の場「RT フロンティア」などの特徴的プログラムを通じて、多数の「突破力」のある若手人材の創出と、世界最高水準の RT 教育研究拠点を形成してきました。2013 年度は本拠点の実績が評価され、卓越した大学院拠点形成支援補助金「グローバルロボットアカデミア」の支援を受け、科学研究費基盤研究(S)、博士課程教育リーディングプログラム「実体情報学博士プログラム」、重点領域研究機構「アクティヴ・エイジング研究所」とも新たな協力体制を築きました。2014 年度には、早稲田大学は「スーパーグローバル大学院創世支援」にて「タイプ A(トップ型)」に採択され、我が国におけるトップクラスの研究拠点として承認されました。当プログラムは 6 本の柱で構成されており、そのうちの 1 本が「ITC・ロボット工学」であるため、当拠点の我が国における重要性は益々高まっています。また、世界的な問題となっている災害対応とインフラ整備を目指し、福島県「災害対応ロボット産業集積支援事業」、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に採択され新たな研究体制を構築しました。これらの研究推進力を活かし国際的競争力を更に強化するため、世界のロボット研究中心拠点「次世代ロボット研究機構」を新設しました。上記の新体制を基に「高い学問知の構築力」と「実践的アイデアの創造力」を併せ持った「突破力」のある若手研究者を多数育成し、世界の WASEDA としてより一層尽力して参ります。

 

<略歴>
1945年4月  京都に生まれ神奈川へ
1971年3月  早稲田大学大学院理工学研究科修士課程卒業
1971年4月  (株)日立製作所機械研究所入社
以後一貫してロボティクスの研究に従事する
1999年10月 早稲田大学 博士(工学)学位
2001年4月より現職

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